ネストリウス派(東シリア教会)をたずねて

シルクロードにおけるキリスト教(おもにネストリウス派)の足取りを、関連書籍を読みながら たどります

ネストリウス派の現在の姿が見られる?!~池袋・古代オリエント博物館「北イラクのマイノリティを訪ねて」展を観に行った

 

 現在、池袋のサンシャインシティ文化会館7階にある古代オリエント博物館で、「北イラクのマイノリティを訪ねて」という展覧会をやっていると知った。展示の内容は、現代の北イラクで、キリスト教を奉じるアッシリア人や、今なお独自の文化習俗と信仰を守り続けているクルド人、ヤズィーディーといったマイノリティの人々を写した田村公祐氏の写真展だという。前回、イスラム勢に押されて、窮地に立たされたネストリウス派が、クルディスタンに逃げ込み、その後も紆余曲折を経ながら、現在に至るらしいということを書いたが、↓↓

この展覧会のアッシリア人=生き残りのネストリウス派といっていいのだろうか?よくわからないが、早速、展覧会を観に行った。

 

 行ってみると、展示は一部屋のみであったが、一枚一枚にキャプションがつけられた数十枚の写真と、それとは別に大画面で見られるスライドショーがあって、これらを全部みると、一部屋分の展示とは思えないほど充実した内容であった。キャプションによれば、この地域でキリスト教徒であるアッシリア人の大半は、やはりネストリウス派だという。写真を見ながら、これが現代に生きるネストリウス派の人々の姿、衣装なのか…などとしみじみした。ゾロアスター教キリスト教が混じったイスラム教の異端を奉じるヤズィーディーという人々を写した写真もあって、こちらの姿も印象に残った。写真の他に、当地の人々の手で作られた衣装も展示してあって、それも良かった。キャプションを読んでいくと、この地域が現代においても難しい状況に置かれているのがわかって、複雑な気持ちにもなったが、貴重な写真や衣装を見ることで、書物の中でしか知らなかったネストリウス派の人々や彼の地の人々の生活が少し身近になった。

 この「北イラクのマイノリティを訪ねて」(クローズアップ展)、会期は、(12月27日~1月3日の年末年始は休館)2022年1月30日まで。